
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)のサクラ状況報告
PIO-NETとは国民生活センターと各都道府県の消費生活センターに寄せられた消費者からの苦情相談を収集するネットワークシステムです。この機関は情報収集だけでなく行政機関への情報提供を行っている機関なので、消費者と行政機関の橋渡しのような存在だと思ってください。この機関に寄せられた苦情などの情報が行政機関に届くことによって法改正や法規制の動きとなります。
このページではそのPIO-NETが公表した2010年度の有料サイトのサクラに対する苦情状況をご説明します。検挙件数をベースに公表される警視機関発表の資料とは違い、被害者の苦情をベースに作られた資料であるため、違った側面を垣間見ることができます。
サクラによって詐取された金銭を取り返す難しさ
まずPIO-NETが発表した"悪質な「有料メール交換サイト」にご注意!"という資料の冒頭において注目したいのはサクラ被害の注意喚起をしているのですが、資料から引用すると、「消費者に対して「『サイト業者はサクラを使っている。返金して欲しい』と主張しても、相談者が「サクラ」等の存在を証明することは困難なため、支払ったメール交換費用を取戻すことは難しい。
」と書かれいます。
つまりサクラに対して詐欺罪を成立させるためには、まず相談者がメールの相手となった人物がサクラであることを証明する必要があります。ですが現実的にサクラを証明してくださいと言われても「私はサクラです」と自白させればいいのでしょうか?それとも実際のメールオペレーターを何とかして突き詰めてその人が自分のアドレスに対して別人を装ってメールを送信している証拠写真を撮ればいいのでしょうか?それとも出会い系サイトが利用しているプロバイダに問い合わせてメール送信者の情報を開示してもらうのでしょうか?どれも非現実的なことです。
またそのサクラがサイト運営者が雇ったサクラであることを証明する必要もあります。単なるイタズラ目的のサクラなのか営利目的のサクラなのかでは請求できる金額も天と地ほどの差があるでしょう。つまりそれだけサクラを取り締まるのは難しいという認識が必要です。つまり消費者は自衛するしかありません。
PIO-NETの相談件数の推移
PIO-NETが公表した有料出会い系サイトに関する相談件数の推移によると、
- 2005年...97件
- 2006年...279件
- 2007年...539件
- 2008年...1082件
- 2009年...2484件
と増加の一途をたどっていることがわかります。2010年に関しても集計途中でありながら2009年の同時期より+400件ほど多いので相談件数のペースは上がってきているようです。
この結果は2つの推論ができます。つまりサクラによる被害相談者が増えたという推論と消費者の間でサクラによる被害を受けたら消費者センターなどに相談すればいいという認知が広がったと推論です。おそらく両方の増加要因があると思いますが、悪質な出会い系サイトが新規で増えているというわけではなさそうです。
相談者の性別
PIO-NETが集計した相談者の男女の割合は
- 女性...66.7%(3747件)
- 男性...33.3%(1871件)
と女性が7割近くに上ることがわかります。これはあくまで消費者の相談件数ベースという統計の性質上、被害認知数であることを考えなければなりません。つまり男性は「サクラによって騙された」となった時に泣き寝入ることが多い可能性が捨てきれないのです。なのでこの男女比は単純に女性の被害者のほうが多いと考えてはいけません。男性もほど同等の潜在的な被害者がいるものの被害として認知されていないだけと考えたほうが自然のように思えます。
しかし数年前までは出会い系サイトのサクラと言えば男性が被害に遭うものと相場は決まっていました。そう考えると最近は女性だからサクラによる騙しには遭わないというかつての常識は崩壊したと考えて良さそうです
むしろ出会い系サイトのサクラに対して免疫がないために女性利用者の方が古典的なサクラ(芸能人・有名人・セレブ)に引っかかりやすいという特徴はあると思われます。
相談者の年齢
PIO-NETが集計した相談者の年齢の分布は
- 30歳代...32.4%
- 20歳代...27.2%
- 40歳代...22.6%
- 50歳代...7.4%
- ...
30歳より上の世代の被害者が6割に昇るようです。年代的に見ると既婚世代が多いはずなのですが、サクラ被害の中心になっていることがわかります。
相談者の職業
PIO-NETが集計した相談者の職業の統計は
- 給与取得者...53.4%
- 家事労働者...18.1%
- 無職...17.6%
- 学生...8.2%
- ...
約2割の専業主婦が出会い系サイトのサクラの被害者になっていることが特徴的です。これは主婦が出会い系サイトを利用していたと考えるのではなく、非出会い系サイトから出会い系サイトに誘導された結果と考えるべきです。また約2割の無職の方が被害者になっているのは求職中だったのでしょうか?それで「お金をあげます」と近づいてきたサクラの話を信じてしまったとなると、少し筋が通るような印象を受けます。実際に被害金額を見てみると、平均して78万円の被害額となっていることからも全く貯蓄もない利用者層ではないことがわかります。
騙された人が多かったサクラメール
PIO-NETが相談件数として多かったサクラの内容として事例を挙げているのが以下の2つです
- 文字化け解除費用などの名目で詐取
- 芸能人を騙る相手による詐取
前者の文字化け解除費用は男性の被害者、芸能人もしくは芸能人のマネージャを詐称する者からの詐取は女性の被害者という印象を当サイトに寄せられたユーザーからの情報からも受けます。しかし女性の被害者の多くはSNSサイトなどの非出会い系サイトから出会い系サイトへ誘導される形で被害に遭っていることが多いのが特徴です。
PIO-NETサクラ報告のまとめ
PIO-NETはこうした統計を受けて、被害にあった利用者の半数以上がクレジット決済を行っていることからクレジット会社に対して出会い系サイトへ高額な決済を連続しているユーザーに対して注意喚起を行うように要請しています。
実際上の話では、クレジット決済による被害は被害に遭った時期から早ければ比較的に返金されやすい傾向があるようです。消費者庁などに被害相談をすると該当する出会い系サイトに代って問い合わせしてくれるのですが、その段階で早々に返金に応じる運営者もいるそうです。しかしサクラによる返金要求には実務上で難しいことも多いようです。事前の予防が何よりも肝心であることは間違いありません。


